タイアップしたパチスロ機が多い理由とはコラム
2004年7月移行、5号機になってからは、パチンコも含め多くのパチスロ機がタイアップ中心になりましたね。今ではジャグラー・パルサー・ハナハナなどのメーカーシリーズ機以外はほぼ消えてしまいました。版権が絡むため、必ず開発費は嵩むでしょうが、今後もメーカーはタイアップ機を作り続けるだろうなと予想されます。今回はタイアップ機が多い理由をまとめてみたいと思います。
今、考えられるパチスロの魅せ方・手法が限界かも?!
大きな理由としては、やはりパチスロ台の差別化が版権以外で難しいところにいるのではないかと予想されます。特にAT・ART機は押し順に頼るため、ゲーム性はどの台もほぼ同じになってしまいます。「差枚数・セット数・ゲーム数」かの違いはありますが、AT・ARTそのものの性能は純増3枚以上は作れないために違いが出せないのが現状です。
ノーマル機は「ジャグラー」と「ハナハナ」が強すぎるために、版権物以外のパチスロを作るという案もなかなか上がらないのではないでしょうか。一時期「エヴァンゲリオンシリーズ」が天下を取った言える時代もありましたが、ホールがやや抵抗を感じたためか需要も下がり、続編を出すものの大ヒットと言える後継機が続いていないように思います。
今後メーカーやホール含め、新しいパチスロを生み出すことに皆力を注いでいくと思います。現在のスタイルとは全く別のものが生まれるかもしれません。今が「変化」するタイミングだと感じている人は多いと思います。パチスロのスタイル、業界のスタイル、ゲーム性のスタイル……あらゆる可能性があると考えると、楽しくもあり困難も多々ありそうですね。この先どうなるかが楽しみです。
いくつもの会社や人が関わっている
次に考えついたことは、「会社と人」。パチスロ台がホールに設置されるまでに、いくつもの会社を通し、沢山の人の手で作られています。とくにゲームス性のスタイルを決める上で、版権という大きな価値が利用されます。版権の演出を表示したりBGM音や役物の動きで表現したりと様々です。2015年10月直近では、これまで当たり前だった「スタートレバー」の形状を「スーパービンゴネオ(ベルコ)」が2つに分けてみたり、「ぱちスロAKB48 バラの儀式」ではカジノでお馴染みの大きなスロットルレバー(同作品ではサプライズレバーの名称)を筐体上部に設置したりと、これまでに無かった新しいモノが次々と生まれています。
また、演出面では動画(アニメーション)を軸に、様々な仕事が生まれています。メーカー直で製作されるものもあれば、外注による製作も多々あります。高画質な液晶演出を映し出す「液晶」を搭載するだけでも脚本・構成・製作など、様々な分野の仕事が関わってきます。外注することでパチスロ機の製造単価が上がってしまうのですが、ヒット作となるためには、ゲームメーカーと同じくパチスロメーカーもプロに依頼/協力し、新しい台を常に作り出していくしかありません。そうすることで仕事が生まれ、利益が生まれ、会社が成長し、人が生活できる環境になっているのでしょうね。「版権」というものが関係者にとって大きく影響するものであるという事が理解できます。
原作が持つ影響力に便乗したい
タイアップ先となる「原作」というのはパチスロ台のヒットに大きく影響します。つまりメーカーの売上にも繋がるため大変重要な部分の一つです。とりわけ原作が人気であればあるほど、その影響力が大きいため、メーカーも版権に魅了されてしまいます。「北斗の拳」「エヴァンゲリオン」などが解りやすい例でしょうか。すべての情報は収集していないので未確認ではありますが、「北斗の拳」だけを見ても「134万台以上」のビッグビジネスになります。1台35万円としても……4,695億円w そりゃぁ重要ですよね~。
北斗の拳:販売台数を抜粋(Wiki参照)
- ・北斗の拳 強敵:約65,000台(2015年10月時点)
- ・北斗の拳 世紀末救世主伝説:約177,000台
- ・北斗の拳2ネクストゾーン:約26,000台
- ・北斗の拳2 乱世覇王伝 天覇の章:約116,000台
- ・北斗の拳SE:約340,000台
- ・北斗の拳:約620,000台
- 累計:約1,344,000台
また、それだけ販売台数が多くなれば版権元も嬉しいわけでして、メーカー・版権元が相互に飛びつきたいビジネスチャンスになるわけです。
特定層のファンが増える
新規ファンの獲得には版権が一番効果的だと言われています。大好きなアニメ・漫画がパチスロ機になったら打ってみたいと思うのもファン心理という感じでしょうか。確かにそれは間違いではないのですが、ここ最近のパチスロのあまりのお金の掛かり具合にやや意味をなさなくなっているのが現状です。
また、「後継機」というスタイルはこれまでのパチスロでもあった話しです。版権でも同じく後継機が出やすい理由としては、「別のストーリーを作りやすい」という点でしょうか。これまでの後継機は前作に改良を加え、よりホットなパチスロを演出できるよう努めてきました。つまり努力してユーザーの心を掴もうと一生懸命だったんですね。
ですが、版権機の場合は製品の質よりは新しい話題があればOKのようになってしまいました。つまり内容は同じでも見せる演出だけ変えればいいという感じですね。もちろん新しいストーリーを作ることも大変なのですが、「0→1」よりは遥かに容易なはずです。昔のメーカーに居た製作・製造の方が改めて凄いと感じます。「0→1」という新しいものを生み出す努力を怠ってしまったがために、新しいモノを作るのが難しくなってしまいました。そのため安易に製作しやすい版権を使いたくなるのも頷けますね。
まとめ
いかがでしたか?版権が持つ脅威的な力にはなかなか太刀打ちできないですよね。私がメーカーにいたらやっぱり版権作品を提案してしまうかもしれません。(ドラゴンボールとかディズニー作品とか打ってみたいですもんねw)
今では通常時の退屈を誤魔化すために、液晶演出や役物演出で回避している感もあり、長く打つための施策の一つとして版権が利用されているのかもしれません。Aタイプマシンのノーマル機が席巻していた時代に戻ることは無いでしょうが、今後のパチスロ機は変化しつつ、タイアップを上手く活用し、多くのファンに愛されるマシンとなる事を切に願います。